夫が家事をしない:まず結論から
記憶を頼りに言い合うのはやめて、2人で事実を並べましょう。具体的には、見えない家事も含めて、家でやるべきことを2人で一緒にすべて書き出します。2週間、それぞれが自分のしたことを自分で記録します。その記録をもとに分担を決め直します。そして毎週10分、調整の時間をとります。
これを読んでいるなら、きっともう一通りのことは試してきたはずです。やさしく頼む、代わりに自分でやってしまう、あえて放っておく、怒る。それでも話はいつも同じところに行き着きます。「いつも私ばっかりやってる」「大げさだよ」。お互いが自分の感覚で話しているかぎり、どちらが正しいのか決着はつきません。ここで紹介する方法は、話し合いのテーマそのものを変えます。どちらが正しいかを争うのではなく、実際にやったことを2人で一緒に見ていくのです。
- ステップ1:タイミングと最初のひと言を選ぶ。
- ステップ2:見えない家事も含めて、やるべきことを2人で洗い出す。
- ステップ3:2週間、2人で記録をつける。
- ステップ4:残高をもとに分担を決め直す。
- ステップ5:週に一度、10分の振り返りをする。
「見えていない」は、とぼけているとは限らない
パートナーにはほこりや、あふれそうな洗濯かごが「見えていない」というのは、都合のいい言い訳に聞こえます。でも、完全に言い訳とも言い切れません。その理由を知っておけば、効き目のない文句を繰り返さずにすみます。
- 見えない家事。家事のかなりの部分は、目に見えません。牛乳が切れそうだと気づく、甥っ子の誕生日を先回りして考える、歯医者の予約を覚えておく、1週間の献立を考える。この仕事を担っていない人には、文字どおり見えていません。いつも誰か別の人がやってきたからです。
- 求める水準の違い。自分には汚れて見えるものが、相手には許容範囲かもしれません。その逆もあります。2人で決めた基準がなければ、それぞれが自分の物差しで相手を測ってしまいます。
- 受け継いだ習慣。多くの大人は、家のことを1人だけが担う家庭で育ちました。自分で決めたわけでもないのに、見てきたことを繰り返してしまうのです。
どれも、偏りを正当化する理由にはなりません。ただ、責めるだけではうまくいかない理由は説明できます。気づいてもいないことを「やらない」と責めているからです。まず必要なのは、この仕事を2人にとって見えるものにすること。それがこれから紹介する5つのステップの目的です。
FairChore はこの考え方を毎日の暮らしに落とし込みます。家事ごとに点数がつき、世帯の合計は常にゼロ。だからこそ複数人で使うものです。世帯をつくって、一緒に暮らす人に招待リンクを送りましょう。無料、広告なし、インストール不要です。
無料で私たちの世帯をつくるステップ1:タイミングと最初のひと言を選ぶ
家事分担の話をするのに最悪なのは、洗い物がたまったシンクの前で、けんかの真っ最中に切り出すことです。落ち着いていて、子どもに聞かれる心配がなく、どちらも急いでいないときを選びましょう。前もって「今週末、30分くらい時間をとって、家のことの回し方を話したいんだけど」と伝えておくのもひとつの方法です。
そのうえで、相手がしていないことではなく、自分のこと、自分に必要なことから話しはじめましょう。責める言葉は相手を身構えさせます。自分がいまどんな状態にあるかを伝える言葉なら、相手が応える余地が残ります。たとえば、こんな切り出し方があります。
- 「最近ほんとうに限界で、全部ひとりで抱えてる気がする。一度、2人でちゃんと見直せないかな」
- 「もう洗い物のことでけんかしたくない。2週間だけ、別のやり方を試してみない?」
- 「家事の話になると、2人の見えてるものが違う気がする。やることを一回ぜんぶ書き出して、同じところから始めてみるのはどう?」
「いつも何もしてくれないよね」のような決めつけは避けましょう。厳密に言えばほぼ必ず事実ではなく、パートナーは話し合いのあいだじゅう、例外を挙げ続けることになります。代わりに、やり方を提案しましょう。自分の非を認めるより、何かを試してみることに同意するほうが簡単です。
ステップ2:見えない家事も含めて、2人で洗い出す
紙かスマートフォンを用意して2人で座り、家が回るために必要なことをすべて書き出します。5分で終わることも、誰の目にも留まらないことも、すべてです。漏れを防ぐには、部屋ごとに見ていき、そのあと月曜から日曜までのいつもの1週間を振り返りましょう。
- 目に見える毎日の家事:食事、洗い物、洗濯、掃除、ゴミ出し、買い物。
- 先回りして考えること:買い物リスト、献立、切れそうな日用品。
- 予約と予定:病院、歯医者、車の点検、学校の保護者会、子どもの習い事。
- 書類と手続き:請求書、保険、税金、各種書類、更新が必要な手続き。
- 人づきあいと家族のこと:誕生日、プレゼント、招待、親戚や友人への近況連絡。
- 家の手入れ:ちょっとした修理、植物、ペット、車、衣替えなど季節ごとの片づけ。
このリストは、それぞれが別々に作って相手に見せるのではなく、2人で一緒に作ります。パートナーが一緒に書いたリストには、あとから異を唱えられません。話し合いの空気が変わるのは、多くの場合このときです。自分の知らないところで片づいていたことの多さを、相手が一行ずつ知っていくときです。
ステップ3:2週間の記録を、2人でつける
洗い出しでわかるのは、やるべきことです。誰がやっているかはわかりません。それには記録が必要です。2週間、家事をしたらその場で記録していきます。2週間あれば、毎日はやらない家事も拾えますし、記録そのものが新たな負担になるほど長くもありません。
決め手になるのは、この記録を2人でつけることです。1人がつけた記録は、たとえ正確でも、告発状のように受け取られます。相手はそれを用意された非難と感じ、話し合いは記録のつけ方をめぐる言い争いになってしまいます。それぞれが自分のしたことを自分で記録すれば、記録は2人のものになります。それでも意見が分かれるなら、その食い違いは、お互いが自分で書いた事実についてのものです。
FairChoreでは、それができます。まず、家庭を作成します。パートナーを家庭に迎えるために、FairChoreは相手に送る招待リンクを用意してくれます。そのあとは、それぞれが自分のしたことを記録します。誰かが家事をすると、その家事の価値は対象となる人たちの間で分けられます。家事をした人はポイントを得て、ほかの対象者はそれぞれ自分の分の借りを負います。家庭の合計はゼロのままです。
つまりカップルの場合、残高を見れば、どちらがどちらにどれだけ借りがあるかがわかります。各自の残高は初日から積み重なっていき、ゼロにリセットされることはありません。FairChoreはブラウザで使えるほか、AndroidではGoogle Playから利用できます。
ここで一つ強調しておきます。この残高は、2人とも記録してはじめて意味を持ちます。1人しか記録しなければ、残高はその人の分しか測れず、本人がすでに知っていることを裏づけるだけです。パートナーも自分のしたことを記録してはじめて、その数字は2人の共通の土台になります。この2週間は、いつもの習慣を変えず、記録について毎日あれこれ言わないようにしましょう。目的は分担のありのままの姿を見ることであって、相手から一本取ることではありません。
ステップ4:残高をもとに分担を決め直す
2週間たったら、もう一度2人で座って残高を見ます。犯人探しのためではありません。2人で作った土台の上で、新しい分担を決めるためです。長続きさせるために役立つ原則が三つあります。
- 習慣ではなく、好みで分ける。誰にでも、ほかよりはまだ苦にならない家事があります。そこから始めましょう。アイロンがけは嫌いでも料理は好きな人が食事を担当する、という具合です。受け継いだ役割に決めさせる必要はありません。
- 家事は、段取りも含めて丸ごと任せる。「買い物は任せたよ」とは、足りないものを確かめ、リストを作り、買って、しまうところまでを指します。リストは自分が作り、相手は袋を運ぶだけなら、考える負担は自分に残ったままです。丸ごと任せた家事は、見張りもしないし、あとからやり直しもしません。
- 「最低限ここまで」の基準を2人で決める。求める水準は、おそらく同じではありません。何をもって「やった」とするのかを一緒に決めましょう。夜にはキッチンが片づいている、洗濯物はその日のうちに干してある、といった具合です。その最低限を超える部分は、それぞれのやり方で構いません。
決めたことは、2、3行でいいので書いておきましょう。口頭で決めただけの分担は、すぐにあいまいになります。書いておけば、翌週どちらかが取り決めを忘れていても、読み返せます。
ステップ5:週に10分の振り返り
新しい分担は、放っておいて続くものではありません。週ごとに状況は変わります。出張、子どもの病気、仕事の繁忙期。偏りが戻ってけんかが再燃するのを待つのではなく、短い振り返りの時間を決めておきましょう。曜日はいつも同じ、たとえば日曜の夜です。
- 2人で残高を見る:差は縮まっているか、それともまた開いてきているか。
- 調整する:いつも手つかずのまま残る家事があれば、小さな問題のうちに、いま話しておく。
- 感謝を伝える:相手がしてくれたことに「ありがとう」と言っても、公平さは少しも損なわれません。大人どうしの「ありがとう」は、対等な相手への感謝であって、ごほうびではありません。
10分あれば十分です。この時間があることで、家事分担は、何かがあふれるたびに爆発する話題ではなく、落ち着いて片づけられる普通の話題になります。
相手が参加を拒んだら?
正直に言っておかなければなりません。どんな方法も、どんなアプリも、誰かに参加を強制することはできません。パートナーが話し合いも、洗い出しも、記録も拒むなら、それを相手の代わりにやってあげることはできません。それでも、まだ打つ手はあります。
- 期間を決めた短いお試しを提案する。「2週間だけやってみて、それからまた話そう」は、「このままじゃだめ」よりずっと気軽に引き受けられる提案です。終わりが決まっているお試しは、受け入れやすいのです。
- 何が引っかかっているのかを聞いてみる。疲れ、ダメ出しされることへの不安、何をしてもうまくできないという思い。答えは予想とは違うところにあることもあります。反論する前に、まず耳を傾ける価値があります。
- 第三者の力を借りる。行き詰まりが続くなら、夫婦カウンセラーやカップルセラピーの専門家が、話が止まってしまったところから再開する手助けができます。相談することは失敗を認めることではありません。話し合うために、中立な第三者を迎えるということです。
そのあいだも、自分を大事にしてください。なくても困らない家事はいくつか手放す、しばらくは完璧でない家を受け入れる。それはあきらめではなく、自分をすり減らさないための選択です。
問題がもう家事ではないとき
家事分担は、別の問題の氷山の一角にすぎないこともあります。やりとりに軽蔑や屈辱、脅しが含まれているなら、パートナーにお金や外出、交友関係を支配されているなら、相手の反応が怖いと感じているなら、問題はもう家事ではありません。
その場合、方法やアプリは正しい答えではありません。医師、心理士、被害者支援団体など、専門家に相談してください。そして、ご自身やお子さんに危険が迫っているなら、すぐにお住まいの国の緊急通報窓口に連絡してください。